メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

2年半を経て、ついに出合った「背中も赤い」アカハライモリ!

生物多様性の伝道者を期待される体色変異の好例

米山正寛 ナチュラリスト

 大阪府内の知り合いからメールで連絡をもらったのは、2年半前の2020年2月のことだった。その時、東京の朝日新聞社に勤務していた私へ届いたメールには「背中の赤いイモリを見つけた。貴重な個体なので新聞の紙面で紹介してほしい」といった依頼とともに、その個体の写真が添えられていた。

拡大発見時の「背中も赤い」アカハライモリ=池口直樹さん提供

本来は「おなかが赤い」のでアカハライモリ

 日本国内でイモリと言えば、普通はアカハライモリ(Cynops pyrrhogaster)を指す。カエル類と同じく両生類の仲間で、本州・四国・九州に広く分布する。漢字で書けば「井守」となり、井戸にもいた身近な存在だったのだろう。私自身、それまでに見たり捕まえたりしたことはあるが、どれも背中は黒や茶褐色でおなかだけが赤い一般的な姿だった。背中まで赤いという体色変異を示す個体が見つかることは、全く知らなかった。

 「話題性がありそうな話だし、自分でも見てみたい」とすぐに思った。しかし、ちょうど新型コロナウイルス感染症が国内で広がり始めた時期。「珍しいイモリの取材に大阪へ行きたい」では、たとえ寛容な会社であっても認めてくれなさそうだ。

 ただ全国紙の良いところは、各地にたくさんの記者がいること。私が大阪本社のデスクへこの情報を伝えると、すぐに関心を持った記者が取材して「突然変異?背中も手足も赤い アカハライモリ」という記事を書いてくれた(入手した情報を面白いとおもって他部署に伝えても、関心を示してくれる記者がいなくて記事にならないケースは多々ある。だから記事になったのは、私にとってもうれしいことだった)。

 連絡を受けた責任はこれで果たしたようなものだが、このイモリについては自分でも見ておきたいという気持ちが残った。この春に新聞社を退職後、関西方面へ出かける機会が生まれたので、改めて「あのイモリはまだ元気なの?」と尋ねたところ、「見に来たら?」との返事をもらった。そして先月、連絡をもらってから2年半を経て、ついに対面を果たした。

・・・ログインして読む
(残り:約2788文字/本文:約3620文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

米山正寛

米山正寛(よねやま・まさひろ) ナチュラリスト

自然史科学や農林水産技術などへ関心を寄せるナチュラリスト(修行中)。朝日新聞社で科学記者として取材と執筆に当たったほか、「科学朝日」や「サイアス」の編集部員、公益財団法人森林文化協会「グリーン・パワー」編集長などを務めて2022年春に退社。東北地方に生活の拠点を構えながら、自然との語らいを続けていく。自然豊かな各地へいざなってくれる鉄道のファンでもある。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

米山正寛の記事

もっと見る