医師会が「5類」への引き下げに及び腰になる「オトナの事情」
2022年08月12日
年間に約140万人が死亡する日本において、その死因の1%にも満たない疾患のために政府は3度の補正予算を組み、2020年度だけで総額77兆円の「コロナ予算」が計上された。同年の国家予算が106兆円、東日本大震災の復興予算が10年あまりの総額で32兆円であることからも、「コロナ予算」がいかに異次元の規模かがわかる。
問題は、政府や専門家会議が、何度痛い目に遭っても学習しないことである。波が落ち着いた「なぎ」の時に次の波を想定した制度設計に着手することは彼らの性分には合わないのか。今回も7回目の大波が来てから慌てふためいてその場しのぎの対策に右往左往している。例の分科会会長は7月24日のNHK日曜討論で「今まで国民に自粛を強いてきたが、これからは自助努力で何とかしろ」と君子豹変(ひょうへん)した。8月2日にはこの会長を含む専門家「有志」が政府を批判して、新型コロナの発生以来続けてきたコロナ政策の抜本的な見直しを迫った。これに対する島根県知事の「責任逃れをするために仲間割れしているようにしか見えない。不誠実だし責任感に欠けている」という批判は、一諮問機関に過ぎない専門家会議の意見を主体性のない政府がうのみにして迷走を繰り返したコロナ政策のずさんさを的確に表現している。
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