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日本の科学研究を反転攻勢に向かわせる3つのポイント

好調なドイツから学ぶ日本の大学院に足りないもの

川辺浩志 群馬大学大学院医学系研究科薬理学講座教授

 すでに新聞等で多く報道されているように、我が国の研究成果は伸び悩んでおり、他国と比較すると相対的に急速に衰退している。一方、ドイツは、研究で国際的な地位を着々と高めており、医学生物学分野では過去20年間ほどで日本とドイツの間の研究成果の差は大きく開いていった(図1)。

 私は大阪大学大学院医学系研究科で博士号取得後に2002年にドイツのマックスプランク実験医学研究所に博士研究員として留学した。同研究所でグループリーダーとして研究を展開した後に、2020年に群馬大学大学院医学系研究科に薬理学講座の教授として着任した。こうした経験からドイツの研究事情を熟知している。日本の研究がどのようにすれば再び世界をリードできるのか、日独の大学院に注目して日本が打つべき手について感じたことを書きたい。

マックスプランク実験医学研究所(改組により2022年からマックスプランク複合科学研究所)の建物。戦後の復興期に建てられた年季ものだが、ここから世界一流の研究成果が生み出されている=ドイツ・ゲッティンゲン、マックスプランク協会提供マックスプランク実験医学研究所(改組により2022年からマックスプランク複合科学研究所)の建物。戦後の復興期に建てられた年季ものだが、ここから世界一流の研究成果が生み出されている=ドイツ・ゲッティンゲン、マックスプランク協会提供

差は歴然、こんなに違うドイツと日本の大学院

 日本とドイツの大学院では何が違うのか? 結論から言うと、「大学院生の待遇」「大学院でのトレーニング」、そして「大学院修了後の就職事情」の3点について天と地ほどの差がある。

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