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費用を出したくないから「大した問題」ではない? ちょっと待って!

温暖化懐疑論および対策不要論に改めて反論する4

明日香壽川 東北大学東北アジア研究センター/環境科学研究科教授

 今回は、池田信夫氏がGoogle日本法人社長宛てに送った公開質問状のうち、残りの質問10に回答する。

図10(IPCC)拡大図10(IPCC)
池田氏の質問10:温暖化で確実に起こることは何ですか?
 海面が上昇することです。地球の平均気温は2100年までに2℃ぐらい上がると予想されていますが、これによって海面が中央値で48cmぐらい上がるでしょう。これは毎年6mmの上昇で、満潮と干潮の差は1.5mあるので堤防で防げます。
 このように地球温暖化は、日本では大した問題ではありませんが、熱帯の途上国では大きな問題です。だからこれは開発援助の問題ですが、その方法としてCO₂削減の効果は不確実性が大きく、コストが膨大なので、効率が悪いと思います。
 地球温暖化は自然の問題ではなく、人間の被害をいかに減らすかという経済問題です。温暖化で人類が滅亡するわけではないので、費用対効果を考えないといけません。80年後の気温を1.5℃下げるために何百兆円もかけることは、よい子のみなさんの負担を増やすだけです。

 池田氏の質問10に対する回答

 上記の文章には複数の間違いがある。以下のように上記の文章を4つに分けて、それぞれの間違いを指摘する。


筆者

明日香壽川

明日香壽川(あすか・じゅせん) 東北大学東北アジア研究センター/環境科学研究科教授

1959年生まれ。東京大学工学系大学院(学術博士)、INSEAD(経営学修士)。電力中央研究所経済社会研究所研究員、京都大学経済研究所客員助教授などを経て現職。専門は環境エネルギー政策。著書に『脱「原発・温暖化」の経済学』(中央経済社、2018年)『クライメート・ジャスティス:温暖化と国際交渉の政治・経済・哲学』(日本評論社、2015年)、『地球温暖化:ほぼすべての質問に答えます!』(岩波書店、2009年)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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