英国の小さな大学院大学「シューマッハー・カレッジ」で学んだこと 下
2022年09月25日
「学ぶ」と「暮らす」がつながり、混じり合う教育を実現するために~から続く。
その日の午後は、オール・ビーガン・メニューのランチを挟み、ディープタイムウォークと呼ばれるアクティビティーに出かけた。
ディープタイムウォークでは、地球46億年の歴史を4.6kmに置きかえ、雄大な自然を歩く。
1メートルは100万年、1ミリは1000年、1歩(50センチ)は50万年というカウントでハイキングし、その過程で地球にどんな生命が誕生したのか、私たちの祖先が命の連鎖を育んできた歴史をたどっていく。
3~4時間に及ぶ長距離を歩いた末、ようやく着いた最終地点で、最後の0.3ミリにも満たない歩数が産業革命から現在に至るまでの時間だと知らされる。人間という種がこの地球を破壊し始めてしまった、その取り返しのつかない責任への意識。ショック(と疲れ)で参加者が沈黙する中、私たちに何ができるのか、ステファンは告げた。
ディープエコロジーの専門家が、口先だけで行動を迫るのではなく、自らも身体を動かしてメッセージを投げかけている。そのインパクトは大きく切実なものであった。
日本でも地球の危機は叫ばれてきたが、果たしてどれだけの人が、概念や理論の範疇(はんちゅう)を超えて、ガイアとのつながりを保てているだろうか。有識者になればなるほど、頭に偏りがちな傾向は強まるように思う。自戒も込めて、常に心で感じることを怠らないようにしたい。
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