物性物理学~誰もが納得「つくって見せた」「役に立っている」モノ
2022年09月30日
私は昨年、素粒子・天文と物性の間のような量子基礎論と予想してはずれた(「物理学賞は量子コンピューター・量子暗号の背後にある「基礎論」がいよいよか!?」)。今年はどうなるかわからないが、ここ数年、重力波観測(2017年)、宇宙論研究・太陽系外惑星発見(19年)、ブラックホールの理論・観測(20年)と、天文がしばしば受賞しているので、素粒子・天文はしばらくない気がする。
ということで今年は、私の職場である高エネルギー加速器研究機構(KEK)で物性物理の研究を続けてきた門野良典・特別教授に話を聴きながら、物性に絞って予想してみたい。
2000年以降、この分野での受賞をざっと見ると、超伝導・超流動の理論的研究(03年)、超伝導などの理論的説明(16年)、光ピンセットの開発・超短パルスレーザーの開発(18年)といった基礎的なものもある一方、半導体ヘテロ構造の研究・集積回路の発明(00年)、巨大磁気抵抗の発見(07年)、光ファイバーの研究・CCDセンサーの開発(09年)、青色発光ダイオードの発明(14年)など、私たちの生活に直結した発見・発明も多い。半導体ヘテロ構造はコンパクトディスク(CD)などに、巨大磁気抵抗はコンピューターのハードディスクの大容量化に欠かせない技術になっている。
「ノーベル委員会(スウェーデン王立科学アカデミー)も、議論があるものは推しにくい。その点、
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください