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ノーベル物理学賞はネオジム磁石か 誰もが毎日使うメモリーは?

物性物理学~誰もが納得「つくって見せた」「役に立っている」モノ

勝田敏彦 元朝日新聞記者、高エネルギー加速器研究機構広報室長

拡大=shutterstock.com
 今年は10月4日に発表があるノーベル物理学賞は、素粒子物理学・天文学と、物性物理学が交互に受賞するという説がある。実際には例外も多いし、昨年は地球温暖化を予測する「気候モデル」を開発した真鍋淑郎さんらが「複雑系」というくくりで受賞して世界を驚かせた。真鍋さんが専門とする地球物理学は、これまでノーベル賞の受賞対象とはあまり考えられていなかったからだ。

 私は昨年、素粒子・天文と物性の間のような量子基礎論と予想してはずれた(「物理学賞は量子コンピューター・量子暗号の背後にある「基礎論」がいよいよか!?」)。今年はどうなるかわからないが、ここ数年、重力波観測(2017年)、宇宙論研究・太陽系外惑星発見(19年)、ブラックホールの理論・観測(20年)と、天文がしばしば受賞しているので、素粒子・天文はしばらくない気がする。

今年は物性物理学? 「つくって見せた」は強い

拡大KEK特別教授・門野良典さん=筆者撮影

 ということで今年は、私の職場である高エネルギー加速器研究機構(KEK)で物性物理の研究を続けてきた門野良典・特別教授に話を聴きながら、物性に絞って予想してみたい。

 2000年以降、この分野での受賞をざっと見ると、超伝導・超流動の理論的研究(03年)、超伝導などの理論的説明(16年)、光ピンセットの開発・超短パルスレーザーの開発(18年)といった基礎的なものもある一方、半導体ヘテロ構造の研究・集積回路の発明(00年)、巨大磁気抵抗の発見(07年)、光ファイバーの研究・CCDセンサーの開発(09年)、青色発光ダイオードの発明(14年)など、私たちの生活に直結した発見・発明も多い。半導体ヘテロ構造はコンパクトディスク(CD)などに、巨大磁気抵抗はコンピューターのハードディスクの大容量化に欠かせない技術になっている。

 「ノーベル委員会(スウェーデン王立科学アカデミー)も、議論があるものは推しにくい。その点、

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筆者

勝田敏彦

勝田敏彦(かつだ・としひこ) 元朝日新聞記者、高エネルギー加速器研究機構広報室長

1962年兵庫県生まれ。京都大学大学院工学研究科数理工学専攻修了。1989年朝日新聞社入社、科学部員、アメリカ総局員、科学医療部次長、メディアラボ室長補佐などを経て2021年6月に退社。現在は高エネルギー加速器研究機構に所属。著書に『でたらめの科学 サイコロから量子コンピューターまで』。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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