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「星空の街・あおぞらの街」全国大会と観測環境―天文界の取り組み

人工光、1万超の人工衛星システム、電波……天体観測を共存させるには

山岡均 国立天文台天文情報センター長・准教授

全国大会 今年は「天文台のある街」三鷹で10月22、23日

第34回「星空の街・あおぞらの街」全国大会をお知らせするチラシ。写真は国立天文台三鷹キャンパス内に置かれた50cm公開望遠鏡のようすで、空にはオリオン座がかろうじて見える。
 毎年秋ごろに、環境省などが主催するイベント「星空の街・あおぞらの街」全国大会が開催される。都会から離れた夜空が暗い地域で開催されることが多いこの催しだが、第34回となる今年2022年は、東京都三鷹市での開催だ。三鷹市は以前から「天文台のある街」をスローガンに、市内に本部が立地する国立天文台とも協力して、市民と一体となった天文活動を続けてきており、このことが大会招致に当たって大きな力となったと伺っている。

 天文活動の一例が、「みたか太陽系ウォーク」だ。縮尺13億分の1、直径1メートルの太陽を三鷹駅に置くと、太陽系の主要部が三鷹市をすっぽり覆う寸法になる。三鷹駅からの距離で各惑星等に対応したゾーンに分け、各ゾーンに置かれたたくさんのポイントを回ってデジタルスタンプを集める催しだ。今年は「星空の街・あおぞらの街」全国大会当日である10月22日を初日に11月27日まで楽しむことができる。

 全国大会のようすの一部は、11月2日までアーカイブでも視聴できる(要申し込み)ので、関心を持たれた方はぜひご覧いただきたい。

人工光で星が見えない「光害」 1980年代ごろから対策進む

 夜空が明るくなり、星が見えなくなってきたという傾向は、今に始まったことではない。およそ100年前、東京都心に近い麻布に立地していた東京天文台(国立天文台の前身)が三鷹の地に移転してきたのも、都心の空が明るくて観測に適さない状況になってきたことが一因だ。このような、人工光によって引き起こされる影響は「光害」と呼ばれる。公害と区別するために「ひかりがい」と読むことが多い。

小笠原諸島母島で撮影されたオリオン座(中央)。チラシの三鷹の空と比べて見ると、その星空環境の良さに驚嘆させられる=クレジット:国立天文台

 光害の影響は天体観測に限らない。魚や昆虫の行動や植物の生育や開花に、人工光が影響を及ぼすことが報告されている。もちろん、無駄な光をまき散らすことは、エネルギー資源の浪費にも直結する。光の源となるのは街灯や店舗のネオンサインだけではなく、空に漏れる漁火や自動販売機の明かりも気になるところだ。

 これらの問題は、1980年代ごろから重要視され、空に光を漏らしにくい形の街灯が工夫されたり、天体観測に影響が少ない波長での照明に切り替えたりするなどの対策が取られるようになった。環境省の「光害対策ガイドライン」や、各自治体で「光害防止条例」などが定められ、日常的な光害の軽減に取り組む人々も増えてきている。

「人工衛星コンステレーション」から静かな空を守る

 近年問題になってきているのが、多数の低軌道衛星を連携させて一体的に運用する「人工衛星コンステレーション」の影響だ。以前から活用されてきたGPSや衛星電話は、せいぜい数十機の人工衛星でシステムが組まれていたが

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