天文学データを可聴化する意義
2022年12月03日
星空を眺めて、美しいという気持ちにかられない人はいないのではあるまいか。よく考えてみればこれは奇妙である。例えば、どれほど「有名な」絵画であろうと、それを美しいと思わない人はある割合で存在するだろう。この不思議な普遍性を、「我々の体の原材料である重元素はすべて、かつて宇宙のどこかの星の中心で合成されたものです。それらは星の誕生と死を何度も繰り返しながら、宇宙空間を循環し、たまたま地球に取り込まれました。星空を見て美しいと感じる理由もまた、我々の遺伝子に刻み込まれた過去の記憶のせいかもしれません」とこじつけて説明したことがあるが、眉唾であることは認めざるを得ない (論座「地球外知的文明について高校生と考えてみた」)。
そのような非科学的レトリックはともかく、天体と宇宙の「可視化」が観測天文学者の研究において重要な役割を果たしていることは間違いない。一方で天文学は、目で見える波長の光(可視光)のみならず、電波、赤外線、X線、ガンマ線、さらには光ですらないニュートリノや重力波など、様々な種類の信号を「観測」することで進歩し続けている。
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