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中国「白紙革命」運動とその周辺~負けながらも光を放つ、知識人たちの抵抗

言論統制が行きつく先では、無言であっても逮捕されるのか?

下條信輔 認知神経科学者、カリフォルニア工科大学生物・生物工学部教授

 中国で野火のように急速に広がった「白紙革命」運動は、海外にもインパクトを与え、そして今しぼみつつあるように見える。政治的・哲学的な深みを感じるが、日本ではあまり深掘りされなかった。

 昨年中国共産党大会で圧勝したばかりの最高権力者、習近平国家主席・党総書記を、この反政府運動が直撃した(Nikkei.com,11月30日)。参加者が白紙を掲げることから名前がついたこの運動、そもそもは「ウルムチ大火災」が発端だったらしい。11月24日夜、新彊ウイグル自治区ウルムチ市の集合住宅で発生した大火災で、犠牲者は数十人に及んだ(非公式)。そこまで被害が大きくなったのは、地域がロックダウンで封鎖されていたせいだ、という風評から、抗議デモが始まった(JBpress,12月1日)。

 この動きは海外でも注目され、たとえば台湾では12月上旬、白紙を掲げながらの支持集会が開かれた。日本でも支持集会が開かれたが、中身は玉石混交だったようだ(週プレNews,12月13日)。

白い紙を手に集会に参加する人たち=2022年11月30日午後、東京都新宿区、朝日新聞
白い紙を手に集会に参加する人たち=2022年11月30日午後、東京都新宿区、朝日新聞

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