改めて国連気候変動会議(COP27)の意味を考える㊦
2023年01月25日
11月15日、COP27閣僚会合において日本の西村環境大臣は、「1.5℃目標の達成が重要であり、日本は、パリ協定の1.5℃目標と整合した長期戦略及びNDC(温室効果ガス削減目標などの国が決定する貢献)を既に策定しました。まだそうしていない国、とりわけ主要経済国に対し、更なる温室効果ガス排出削減を呼びかけます」と述べた。
この発言は、下記の理由でグリーンウォッシュである。
第二に、日本の第6次エネルギー基本計画では、2030年の電源構成として石炭火力19%、LNG火力20%、再エネ36~38%を目標としている。しかし、政府機関である電力広域的運営推進機関(OCCTO)の「2022年度供給計画の取りまとめ」によれば、2031年度末の電源構成は石炭32%、LNG30%、石油2%、原子力6%、再エネ29%、電源種不明1%となる。すなわち現状では、「2030年GHG排出46%削減(2013年比)」も未達となる可能性が極めて高い。
冒頭の西村環境相発言は、わかっていて言ったのか、それともわからずに官僚にただ言わされたのかは、よくわからない。いずれにしても、問題であることは変わりがない。なぜなら、このような発言は、事実と全く異なるメッセージを国内外に発信すると同時に、「日本はこれから何もしないですよ」ということを宣言しているのと同じだからだ。
COP27では、〝False solution(ウソの解決策)〟もキーワードであった。これは具体的には、水素・アンモニアと化石燃料の混焼や炭素回収貯留(CCS)などを示している。理由は、これらの新技術は、コストが高く、技術的な課題が多く、CO₂排出の大幅な早期削減につながらないばかりか、結果的により合理的な省エネ・再エネの導入を邪魔するからだ。
日本政府による信仰にも近い新技術への固執は、結局、既存の火力発電維持という大手電力会社やメーカーの短期的な利益のためであり、実際に、水素・アンモニアの発電利用を積極的に進めている国は、ほぼ日本のみである。
また、それに関わる日本企業の多くも政府からの補助金に頼っているのが実情だ。そのような将来性が不確実な技術に国民の電気代や税金が使われるのはとても合理的とは言えない。少なくとも
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