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中国の感染爆発は政府の失策なのか、それとも思惑通りなのか?

医療のタブー「平均寿命の短縮」を考える

川口浩 東京脳神経センター整形外科・脊椎外科部長

 中国政府は2022年12月7日にゼロコロナ政策を唐突に大幅緩和し、事実上撤廃した。その転換ぶりは極端で、今や日本よりも規制を緩和している。当然、感染は爆発した。インターネット上では高齢者や基礎疾患のある人などが多く亡くなったという情報が連日伝えられており、映像メディアは葬儀場への車列を世界中に配信している。これまで中国政府は非公式に1日の死者数は一桁台であると主張してきたが、世界保健機関(WHO)などから過少報告を指摘され、1月14日に初めて死者数を公式発表した。2022年12月8日から2023年1月12日までの間の新型コロナウイルス関連死の人数は5万9938人という内容であるが、この数字も医療機関で記録された死者のみを対象としているため、実際の死者数はさらに多いとみられている。

中国・北京市内の火葬場では、ひつぎを乗せた車が列をつくり、遺影を抱えた女性が順番を待っていた=2022年12月19日

政府発表と大きく乖離した死者数推計

 英国の医療系調査会社であるエアフィニティ社は、ゼロコロナ撤廃後の中国内の累積死者数の推計と今後の予測を毎日更新して公表を続けている。同社の集計は、中国保健当局がまだ国際基準に基づいて、陽性反応から一定期間内の死亡がコロナに起因するすべてのケースを計上していた当時の中国各省のデータを基準として、厳格なコロナ対策で感染拡大を封じ込めていた香港や日本で規制が解除された後の感染者増加率を参考にしたものである。

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