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新型コロナ「初夏から5類」に残るモヤモヤ感

「国産治療薬ゾコーバの強引な承認」と「医師会の不見識な対応」

川口浩 東京脳神経センター整形外科・脊椎外科部長

 塩野義製薬は制度が出来た5月にさっそく緊急承認の申請をしたが、審査前から自民党の有力議員がSNSなどで強力に後押しをしていた。しかしながら、6月と7月に開かれた厚労省の薬事・食品衛生審議会では、「有効性を示すデータが不十分」として承認は見送られた。主要評価項目であるコロナ関連の12症状の改善効果が実証されなかったからである。ところが塩野義製薬はこの審議会において、5症状(鼻閉・咽頭(いんとう)痛・せき・発熱・倦怠感)に絞って事後解析したデータを追加提出して有効性を強調した。評価項目を変えて有利な結果を探るような解析方法について、当然、委員から厳しい批判が出た。にもかかわらず、この承認見送りに対して、日本経済新聞などの一部有力メディアが公然と疑義を表明した。

 塩野義製薬はその後、日本、韓国、ベトナムにおけるグローバル臨床治験の結果、作為的に選んだ上記の5症状の回復までの期間が実薬群ではプラセボ(偽薬)群よりも1日(24.3時間)だけ短くなった(約8日→約7日:実薬群167.9時間 vs.プラセボ群192.2時間)として、再申請を行った。これを受けて厚労省・医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、「有効性を有すると推定するに足る情報は得られたと判断した」と結論づけ、昨年11月の審議会で緊急承認された。

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筆者

川口浩

川口浩(かわぐち・ひろし) 東京脳神経センター整形外科・脊椎外科部長

1985年、東京大学医学部卒。医学博士。米コネチカット大学内分泌科博士研究員、東京大学医学部整形外科教室助手・講師・准教授、JCHO東京新宿メディカルセンター脊椎脊髄センター長などを経て、2018年より現職。日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医。国際関節病学会理事、日本軟骨代謝学会理事。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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