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政府と協力して社会問題を解決するための日本学術会議の独立性

両者の信頼回復のために真摯な対話の継続を望む

須藤靖 東京大学教授(宇宙物理学)

 日本学術会議が推薦した会員候補のうち6名を菅総理が任命拒否した2020年10月1日以降、学術会議と政府の間の不協和音が全く解消されないまますでに2年以上経過した。この間、新型コロナウイルス対策と経済活動の両立、ロシアのウクライナ侵攻による安全保障と防衛のあり方、2030年までの温室効果ガス半減宣言、原子力発電所再稼働、などに代表される、国際的危機への迅速な対応が求められている。まさに今こそ、政府と学術会議は密接に協力しつつ、科学的議論にもとづいた対策を速やかに実行することが不可欠である。それが機能していない現状でもっとも不利益を被っているのは、日本社会、つまり我々国民だ。

 このような状況のもと、2022年12月6日に、内閣府は「日本学術会議の在り方についての政府方針」を公表した。 これを受けた12月8日と21日の学術会議総会では、内閣府総合政策推進室室長による説明と質疑応答が行われたが、「その方針にしたがって次期国会で学術会議法の改正を行なうが、改正案の文言はまだ存在していないので具体的なことは言えない」との説明が繰り返されただけであった。そのため学術会議は21日の総会において、声明「内閣府『日本学術会議の在り方についての方針』(令和4年12月6日)について再考を求めます」を決議し公表した。27日には、この声明に対する説明も追加されている。

記者会見する日本学術会議の梶田隆章会長=2022年12月21日、東京都港区、朝日新聞
記者会見する日本学術会議の梶田隆章会長=2022年12月21日、東京都港区、朝日新聞

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