一足早い春の日差しにまどろみながら、未来を憂う
2023年03月27日
知らぬ間に、陽が長くなった。
冬の間ずっと着ていた厚手のダウンジャケットが急に重たく感じ、薄手のTシャツ一枚で過ごせる日もあるくらい。
そんな日は、思わず「ああいい陽気だな」なんて和んでしまう。桜を見ればどうしたって、季節のめぐりを感じてしまう。いつもよりその開花が早いことなんて、ついぞ忘れて。
変わらないように思える日々も、少しずつ変わっていて、また一年また一年と、ゆっくり年を重ねていく。
その傍らで、地球規模の温暖化が着実に進行していることを、私たちはどれだけ気に留めているだろうか。
米航空宇宙局(NASA)によると、2022年は記録の上では最高レベルの暑さだったという。熱帯太平洋地域に見られる気候パターンが、ラニーニャ現象という低温期に入っていたにもかかわらずだ。これは異常なことであるそうだ。
そして、WIRED日本版によれば、ラニーニャ現象による海水温低下の影響が見込めないとすれば、23年は観測史上最高気温になることはほぼ間違いないとも言われている。
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は3月20日、気候変動に関する第6次統合報告書を発表した。 15年の「パリ協定」では、世界の気温上昇を産業革命前と比べて1.5℃に抑えることが目標として掲げられている。だが、温室効果ガスが継続的に排出され続けると、今後10年の間に危険だと警告されてきた転換点に達する可能性が高いという。
「この10年間に行う選択や実施する対策は、現在から数千年先まで影響を持つ」
IPCCが発しているメッセージは重い。
「こちら、民間の気象会社が今日発表した、桜の開花予想です。福岡と東京が3月16日、仙台が今月25日と、平年より数日から1週間あまり早いと予想されています。その理由は各地で続く春本番のような暖かさ。今日も気温が上がり、東京都心では22.2度と5月上旬並みの暖かさとなりました」
多くの学校で卒業式が行われた3月9日。
レミオロメンの名曲を口ずさみながら、テレビをつけると「まるで春本番」というテロップのもと、NHKのアナウンサーが終始にこやかに報道していた。
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