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公共放送が能天気に「春本番の暖かさ」を喜んでいていいの

一足早い春の日差しにまどろみながら、未来を憂う

宮﨑紗矢香 人間活動家

 知らぬ間に、陽が長くなった。

 冬の間ずっと着ていた厚手のダウンジャケットが急に重たく感じ、薄手のTシャツ一枚で過ごせる日もあるくらい。

 そんな日は、思わず「ああいい陽気だな」なんて和んでしまう。桜を見ればどうしたって、季節のめぐりを感じてしまう。いつもよりその開花が早いことなんて、ついぞ忘れて。

3月でこの気温?

横浜の河津桜=筆者撮影拡大横浜の河津桜=筆者撮影
 たしかに異変を感じたはずなのに、それも次の瞬間には忘却され、私たちは早々と花見の予定を立てようと意気込んでいたりする。

 変わらないように思える日々も、少しずつ変わっていて、また一年また一年と、ゆっくり年を重ねていく。

 その傍らで、地球規模の温暖化が着実に進行していることを、私たちはどれだけ気に留めているだろうか。

 米航空宇宙局(NASA)によると、2022年は記録の上では最高レベルの暑さだったという。熱帯太平洋地域に見られる気候パターンが、ラニーニャ現象という低温期に入っていたにもかかわらずだ。これは異常なことであるそうだ。

 そして、WIRED日本版によれば、ラニーニャ現象による海水温低下の影響が見込めないとすれば、23年は観測史上最高気温になることはほぼ間違いないとも言われている。

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は3月20日、気候変動に関する第6次統合報告書を発表した。 15年の「パリ協定」では、世界の気温上昇を産業革命前と比べて1.5℃に抑えることが目標として掲げられている。だが、温室効果ガスが継続的に排出され続けると、今後10年の間に危険だと警告されてきた転換点に達する可能性が高いという。

 「この10年間に行う選択や実施する対策は、現在から数千年先まで影響を持つ」

 IPCCが発しているメッセージは重い。


筆者

宮﨑紗矢香

宮﨑紗矢香(みやざき・さやか) 人間活動家

1997年生まれ。立教大学社会学部卒。Fridays For Future Tokyo元オーガナイザー。2020年4月、株式会社大川印刷入社。社会課題を考える多 数のイベントやソーシャルメディアを通じての外部発信を担当し、2021年7月退職。国立環境研究所 社会対話・協働推進室コミュニケーター。共著に『グレタさんの訴えと水害列島日本』(学習の友社、2020年)、『子ども白書2020』(かもがわ出版、2020年)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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