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デング熱の画期的な予防法が登場

細菌感染させた蚊を放出する奇策で根絶も視野に

高橋真理子 ジャーナリスト、元朝日新聞科学コーディネーター

 熱帯病のデング熱に画期的な予防策が登場している。2023年3月にコロンビア・メデジン市で開かれた科学ジャーナリスト世界会議での「ワールド・モスキート・プログラム(世界蚊計画=WMP)」(本部はオーストラリアのモナッシュ大学)の発表によると、ボルバキアという細菌を感染させた蚊を環境に放すとデング熱の患者が大幅に減るのが確認された。感染蚊の体内ではウイルスが生きていけないため、病気を媒介できなくなるからだ。この対策をさらに広めようと、メデジンにあるアンティオキア大学の施設では1週間に4000万匹の感染蚊が「生産」されていた。

オニボウフラの入った水を上から流してオスとメスを選別する。オスは小さいので下まで流れていき、大きなメスは途中で止まるオニボウフラの入った水を上から流してオスとメスを選別する。オスは小さいので下まで流れていき、大きなメスは途中で止まる
オニボウフラが次々と成虫になるオニボウフラが次々と成虫になる

「世界を脅かす10大疾病」の一つとされたデング熱

 デング熱は、日本では国内感染が報告された2014年と2019年に騒ぎになったが、それっきり忘れ去られた感がある。だが、世界では1970年代と比べて感染国が9から129に激増、温暖化の影響もあるのか感染者数は30倍にもなり、世界保健機関(WHO)が「世界を脅かす10大疾病」の一つに指定している。

 感染者の血を吸った蚊が別の人を刺すことで広まり、発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、発疹などの症状が出て、死に至ることもある。蚊が媒介する伝染病には、このほか日本脳炎、ジカ熱、チクングニア熱、黄熱、マラリアなどがあり、蚊は「もっとも多くの人間を殺す動物」とも言われる。

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