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研究力低下の「特効薬」に頼ろうとしない日本

しがらみのない国際機関による政策評価で復活したドイツに学べ

永野博 政策研究大学院大学客員研究員、日本工学アカデミー顧問

 国の向かうべき方向は政府が政策を立案し、実施することで実現していく。どの国でも、またどの分野でも政府は毎年、新たな政策を考え、予算をつけ、税制を変え、新しい制度を導入している。科学技術・イノベーション政策においては、基礎研究、教育制度、若手研究者の養成、研究機関間の連携、産学連携、起業の支援などについて繰り返し新政策が発表される。

 政策の全体についても、科学技術の分野では5年ごとに科学技術・イノベーション基本計画が閣議決定され、関連する政策がレビューされ、新たな計画が作られる。科学技術政策は相対的に透明性が高く、外部から政策の全貌(ぜんぼう)が見渡せる分野である。それにもかかわらず日本の研究力、国際競争力は低下の一途をたどっている。この数年、博士後期課程の学生への支援、10兆円の大学ファンドによる国際卓越研究大学に対する支援、学部学生への学費支援など、研究力向上を目指す政策が打ち出されているが、その成果は未知数である。

しがらみのない外部評価は政策版「人間ドック」

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