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「トヨタは大丈夫か?」を考える

安井孝之

安井孝之

 トヨタ自動車は日本のものづくりの象徴である。そのトヨタが昨秋以降、大型のリコールを何度も実施している。そのたびに「日本のものづくり」の危機が指摘される。7月初めに届け出た高級車「レクサス」を対象にしたエンジン部品のリコールでは、日経新聞は社説で「レクサスでも陰る品質神話」と題し、強い危機感をにじませた。だが、その危機感は正しいのだろうか。

 今回のレクサスのリコールはエンジンの吸排気弁のバネに異常があった。バネに小さな異物が製造過程で混ざることがあり、最悪の場合、バネが壊れてエンジンが止まってしまうという。メカニカルな古典的な不良である。部品を供給していたのは日本の部品メーカーだった。

 これをどう見るか。米国で起きたアクセルペダルやプリウスのリコールは、次のように受け止められた。(1)積極的なグローバル展開で海外部品メーカーからの調達が増え、細部まで目が届かなくなっていた(2)自動車の電子化が進み、ブラックボックスの部分が増えたり、ソフトウエアの不備が起こりやすくなったりしたため。

 これに対し、レクサスのリコールは(1)(2)のいずれにも当たらず、深刻だというのが日経新聞の見方だ。(1)、(2)はグローバル化と電子化という新しい状況に自動車産業が直面し、そこで起きがちな新型のリコールである。それに対し、先にも書いたが、レクサスのリコールはエンジンという深刻な問題ではあるが、

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