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マニフェストを大胆に見直そう――砂上の楼閣ではいけない

小此木潔

小此木潔 ジャーナリスト、元上智大学教授

 昨年の総選挙で民主党が掲げたマニフェスト(政権公約)にこだわり続けると、民主党は自滅の道を歩むことになるのではないか。そうならないためには、マニフェストを大胆に見直し、できないものはできないと、国民にはっきり説明する勇気が必要だ。

 菅首相は8月2日の衆院予算委員会で谷垣自民党総裁の質問に答えて「マニフェストは全力を挙げて実現に努力する。どうしても財源のためできない場合は国民の皆さんにていねいに説明する」と述べた。党内の小沢グループなどに配慮しつつ、自らも支持してきた高速道路の無料化などへのこだわりものぞかせたが、いつまでもマニフェストにこだわるのではいけない。財源不足でできないことがはっきりしてきた項目をきちんと説明しなくてはならない局面をすでに迎えているのだから。

 総選挙のマニフェストの最大の欠陥は、財源確保をできないまま公約を並べたということだった。これは砂上の楼閣というしかない。マニフェストの第一項目は「国の総予算207兆円を全面組み替え。税金のムダづかいと天下りを根絶します」「今の仕組みを改め、新しい財源を生み出します」とうたい、歳出の見直しだけで毎年9兆円もの財源を生み出すとしていた。

 その理屈はもう通用しない。

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