小此木潔
2010年12月27日
個人情報の保護をたてに、共通番号制度の導入をつぶしてしまえば、喜ぶのは「脱税派」である。所得再分配などしたくない、貧困層は自己責任で問題を解決せよ、と考えている一部の富裕層の人々も喜ぶだろう。あえて極論ふうに言ってしまうと、こうなる。
そういうことになってはいけない。だがもちろん、個人の権利が不当に損なわれるような情報流出がないようにしなくてはいけない。要するに答えは、個人情報保護に細心の注意を払いつつ、共通番号制度を導入する方策を国民的議論のうえに、納得ずくで決めていくということである。
あれやこれやの、もっともらしい理屈を並べて「番号制=悪」と決めつけるような論理は、結局のところ、番号制を導入されては困るような人々の利害のお先棒をかつがされるという構図を、多くの人々は理解すべきである。
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください