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「年金マガジン-ネット探検隊が行く」vol.4基礎年金=「年金ジャングル」の入り口

松浦新

松浦新 朝日新聞経済部記者

 前回まで、ネット探検隊は厚生年金の「報酬比例部分」を調べてきた。今回からは「定額部分」と呼ばれる部分について調べていく。「基礎年金」とも呼ばれる部分で、何かと話題が多いところだ。今回、探検隊は「年金ジャングルの入り口」を開くことになる。

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 【ネット探検隊】年金の現状や改革の方向性をネット上のデータを探索しながら明らかにしていく。隊長、隊員は以下の3名。

 隊長:香川年男 1973年生まれの37歳。バブル崩壊後、阪神大震災の年に社会に出た。

 隊員:本田景子 1985年生まれの25歳。リーマン・ショック前の平成ミニバブル期の採用。

 隊員:岡崎金人 1947年生まれの63歳。団塊世代の先頭集団で、定年後も嘱託で働く。

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 本田 「年金ジャングル」なんて、大げさすぎないかしら。基礎年金って、新聞でもよく取り上げられていますよね。税金が確保できるかが問題になったり、税方式がいいとか保険方式がいいとかと議論になるところでしょう。

 香川 その通りだね。だけど、本田君は「基礎年金」の保険料はいくら払っているか知っているかい?

 本田 それは、国民年金と共通のはずだから、ここにある保険料ですよね。いまだと1万5100円ですね。

 香川 なるほど。これを見ると、前納もできることになっているけど、君はその選択をしたことがあるかな。

 本田 いいえ……。会社が勝手に選んでくれているのかしら。言われてみれば、私なんかは給料から天引きされているから、口座振替の扱いで50円まけてもらってもいいんじゃないかしら。

 香川 じゃあ、もっと言おう。ここに、厚生年金保険料の早見表のようなものがある。一番左にあるのが、前回までに見た「標準報酬月額」だ。その右にある「報酬月額」というのは月給で、この「幅」の中にあると左の「標準報酬月額」が適用される。たとえば、月給10万円の標準報酬月額は9万8000円となる。これにかかる保険料は1万5736円(1円未満は四捨五入)だ。加入者本人からは7868円が天引きされる。この中に基礎年金の保険料が含まれている。

 本田 ということは、サラリーマンの場合、基礎年金といっても、1万5100円を自分で負担しているわけじゃないのね。会社と折半で負担しているとしても、標準報酬月額が9万8000円の人は636円しか違わないですね。

 香川 そういうことだ。かたや、標準報酬月額が62万円の人の保険料は9万9559円だから、国民年金保険料を8万4459円上回っている。これが報酬比例部分の保険料だとすると、133倍の保険料を払っている。でも、報酬比例部分の年金額の計算の時には標準報酬月額から計算するから、6.3倍にしかならない。

 岡崎 うーん、ジャングルだなあ。わけがわからない。

 本田 岡崎さん、いたんですか!

 岡崎 失礼な。数字の話をしていたから、割り込みにくかったんだ。それにしても、

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