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海を渡った看護師たちが教えてくれること

木代泰之

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

 ニュージーランドの地震で、多くの日本の若者が安否不明になったままだ。朝日新聞の調査では、このうち少なくとも12人の女性が看護師を目指す人か、すでに働いている看護師だったという。「日本の若者は内向きだ」と言われるが、単身海を渡って看護技術や英語力を身につけようと努力する人たちが大勢いることを、地震によって知ることとなった。

 筆者は先日、「若者よ、海を渡る覚悟を決めよう」という一文をWEBRONZAに書いた。「日本か海外か」という二元論ではなく、これからは日本も海外も一つの舞台と考えて活躍の場を広げようという趣旨だった。日本にとってかけがえのない人材が、一度にこれほどたくさん安否が分からなくなったことに、深い落胆を感じている。

 今回10人の看護留学生を送り出していた留学支援会社「ワールドアベニュー」によると、留学先であるキングスエデュケーションはニュージーランド国内の多くの研修施設と提携し、学問だけでなく看護の実践も経験できるようになっていた。ニュージーランドでは、日本の看護師資格があれば、英語試験や書類審査に通るだけで看護師として登録できる。そのオープンなところに人気があった。

 逆に日本でいま問題になっているのは、外国人看護師の受け入れ問題である。インドネシアやフィリピンから来日した看護師候補の人たちが、日本語の習得が不十分という理由で、日本で働く資格をとれないまま帰国を余儀なくされる現状をどう改善するかが問われている。

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