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積立不足と厚生年金基金の規制

松浦新

松浦新 朝日新聞経済部記者

 国の厚生年金の一部と、企業年金を運用・支給している厚生年金基金の積立不足が深刻なことがわかった。約600の基金のうち242基金で、厚生年金分を支払う資金さえ残っていないことがわかったためだ。手遅れになる前に「レッドカード」を出す仕組みが必要だ。

 厚生年金の積立金の一部は、民間で運用されている。厚生年金基金という組織がそれで、国に納める保険料の一部を納めずに運用し、厚生年金の一部とプラスアルファの企業年金を給付することになっている。企業や業界団体が設立して運営されているが、現在は業界団体の基金がほとんどになった。

 ところが、07年のサブプライム問題、08年のリーマンショックと続いた株価の暴落で、積立金に損害が出た基金が多く、プラスアルファどころか、代行している厚生年金の一部の支給さえ心配される基金が増加している。

 厚労省が明らかにした基金の財政状況によると、242基金で、いま解散すると厚生年金分の給付に必要な積立金さえ残っていない。厚労省はこのうち51基金を「指定基金」として、積立不足が計3660億円あると説明していたが、実際は、242基金の合計不足額は昨年3月末現在で7700億円にのぼる。

 積立金が必要額の5割台しかない基金が3つ、6割台が7つ、7割台が24と、大きくへこんでいる基金も多く、なぜ、こうした基金が放置されているのか、理解に苦しむ。現状は、

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