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喜ぶのはまだ早い、長期支援に税制改正を

松浦新

松浦新 朝日新聞経済部記者

 孫正義氏の100億円寄付には驚いた。10億円を寄付する経営者もすばらしい。欧米に比べて寄付が少ないと言われる日本だが、今回の地震は、寄付が社会を変えるきっかけになってほしいと思う。

 こう書くと、阪神大震災でも約1800億円の寄付が集まったではないか、と思う人がいるだろう。 我々の日常生活の感覚から見ると巨額だが、今回の震災被害の巨大さから見ると焼け石に水のような金額でしかない。 NPO法人の日本ファンドレイジング協会がまとめた「寄付白書」によると、日本の2009年の寄付は1兆395億円と推計されている。 この金額だけを聞くと、日本も捨てたものではないと思う人がいるかもしれないが、これはGDPの0.22%でしかない。米国はGDPの1.87%を占めるというから、経済規模で考えると、日本でも10兆円ぐらい集まってもおかしくない。

 こう考えてくると、今回の震災で仮に5000億円ぐらいの寄付が集まったとしても喜ぶことはできない。実際に、4月8日に厚労省で開かれた「義援金配分割合決定委員会」で示された配分案を見ればわかる。死者・行方不明者、家が全壊した人、原発で避難・屋内待避命令が出た地域に住む人に配られるのは「35万円」だ。少ないと思う人もいるかもしれないが、今回の被害の大きさから考えると、これだけでも2000億円程度にふくらむということだ。

 今回は1次配分なので、2次、3次がある。1995年1月17日に起きた阪神大震災の時の義援金は1次配分で死者・行方不明者の家族に「10万円」などだった。この時は、震災から約半月の2月1日から支払いが始まった。その後、2次配分は5月半ばに支払いが始まっているが、母子家庭、父子家庭に「30万円」などの配分に止まった。3次配分は翌年7月になった。

 こうして考えると、

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