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原発と津波の「想定外」/私たちはなんと愚かで忘れやすいのか

原真人

東日本大震災後の女川原子力発電所=3月14日午前9時7分、宮城県女川町、朝日新聞社ヘリから
 「想定外」とは何なのか考えさせられる。たかだか数十年前のことさえ忘却する人間が、数百年前、数千年前の経験を考慮して「想定」することなどできるのだろうか。

 東京電力の福島第一原発は「想定外」の10メートル超の大津波による被害で苛酷事故に至った。これと明暗を分けたのが東北電力・女川原発だ。高さ17メートルという、福島第一より大きな津波に襲われながら危機的状況を回避できた。その最大の理由は、原子炉建屋が海面から14.8メートルの高さにあったことだ。そのおかげで一部建屋が浸水したものの、原子炉を冷やすために不可欠な電源は失わずにすんだ。

 女川原発の安全審査で想定された津波の高さは最大9.1メートルだったという。にもかかわらず、それを大きく上回る想定で原発は造られた。関係者らによると、

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