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空洞化するポルトガルの町と日本の明日

根本直子

根本直子 早稲田大学 大学院経営管理研究科 教授/アジア開発銀行研究所、 エコノミスト

 ギリシャの債務危機は、アイルランドやポルトガルなど多額の財政赤字を抱える国にも伝播している。ポルトガルは国債の円滑な借り換えが困難となり、今年5月に国際通貨基金(IMF)と欧州連合(EU)の支援を受けることが決まった。

 スペインのような不動産バブルはなかったものの、対外借り入れ額はGDPの220%と巨額に上る。

 同国の問題は、輸出競争力が弱く、国内にあまり目立った産業がないことだ。その中で、観光業は貴重な収入源となっている。

 筆者は今年1月に訪れたが、大航海時代の遺跡、坂の多い町並み、新鮮な魚介類、真冬でも温暖な気候など、人を惹きつける観光資源に溢れている。

 屋台で揚げパンを売っているおじさんが、日本人と見て「てんぷら」と呼びかけてきたが、

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