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崩壊する米国の中間層、遠い雇用回復

木代泰之

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

 ロスアンゼルスに暮らす友人から、最近こんな話を聞いた。「近所のゴミ捨て場は収集日の朝になると、普通の服装をした10人ほどの男女が巨大なポリバケツの中を平然とあさっている。こんな風景は去年までは見られなかったのに」。年々色あせて行く米国を感じる時だという。

2010年の失業者支援セミナーの様子。長期失業者が集まった=2010年8月19日、米ノースカロライナ州ウィンストン・セーラム市

 米国の失業率は9%台に高止まりし、毎月第1金曜日に発表される雇用統計は3年間も冴えない数字が続いている。学歴別の失業率はこの間、大学卒以上が約5%、カレッジ卒9%、高校卒10%、高卒未満15%で推移してきた。低学歴になるほど失業率は高くなる。いずれもリーマンショック以前の2倍の水準だ。

 IMF(国際通貨基金)の資料によると、米国の大卒以上(ハイスキル)の主な仕事は金融、情報通信、教育、政府機関など。カレッジ卒と高校卒(セミスキル)は製造業の現場、貿易・運輸・観光などの一般事務職。高卒以下(ロースキル)は住宅・建設業、鉱山などが中心だ。

 失業率で目を引くのは、カレッジ卒と高校卒という米国社会の土台をなす中間層の失業率が平均値かそれ以上であることだ。その主な職場である製造業の雇用が回復しない限り、やがては中間層が減って貧困層が増え、

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