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欧州債務危機、日本政府は根本的解決を促す外交努力を

武田洋子 三菱総合研究所チーフエコノミスト

 円高地合いが続く中、10月31日、政府・日銀が為替市場介入に踏み切った。介入実施直後のドル円相場はひとまず円安に転じたが、そもそも決して経済が好調とはいえない日本の通貨がなぜここまで買われてきたのか。中長期的な為替水準についての議論はさておき、足元の円高の背景には、第一に、投資家のリスク回避志向の強まりによる安全資産としての円への逃避、第二に、米連邦準備制度理事会(FRB)による量的緩和第三弾(QE3)など追加緩和観測による日米金利差の縮小期待、がある。

 さらにこの2つの事象が起きた理由を考えると、やはり欧州債務問題に辿りつく。7月にギリシャの追加支援策が決定した際、筆者は、その追加策では根本的に問題は解決しないとの考えを述べた(2011年7月27日「根本問題なお解決せず」を参照)。残念ながら、その予想は的中し、情勢は好転するどころか悪化した。ギリシャの危機にとどまらず、欧州金融システム不安へと発展、ユーロ圏の中核ともいえるフランスの格下げ懸念も燻っている。

 こうした中、EU・ユーロ圏首脳会議は先週、(1)ギリシャ追加支援の見直し、(2)銀行の資本増強、(3)欧州金融安定基金(EFSF)の拡充、の3つを柱とする「包括戦略」でようやく合意した。

 まず、ギリシャ支援については、

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