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震災後も「海と生きる」ために

小原篤次 大学教員(国際経済、経済政策、金融)

 東京・築地市場で1月5日早朝、初競りが行われ、青森・大間産のクロマグロ(269キロ)が1匹5649万円で競り落とされた。昨年は、北海道・戸井産のマグロ(342キロ)に、1匹3249万円という最高値が付いたが、今年はそれを大幅に上回る価格となった。すし店「すしざんまい」を展開する喜代村が競り落とし、香港の5年連続の高値入札を阻止した。

 一方、香港のすし王、リッキー・チェン氏(44)が経営する板前寿司グループは宮城県気仙沼市を訪問して、クロマグロのにぎりずしを振る舞った。5日に築地市場で落札したマグロを提供し、香港やシンガポールの職人によって握られた。

アジアなどで続く日本の食料品の輸入規制

 残念ながら、香港のすし王らの日本の水産物買い付けは例外的な動きと言える。

 福島原子力発電所の事故による日本の食品に対する信頼性は、海外で回復しきれていない。香港は2010年実績で日本から食品輸出の最大の買い手だった。しかし2011年3~10月で、ミルクおよびクリーム(固形)が前年同期比85.9%、育児食用小売用調製品が同78.5%それぞれ減少している。

 食品輸出3位の中国向けはサケ(冷凍)が同88.6%、水・ノンアルコール飲料が同68.8%の減少となっている。同5位の韓国向けにはホタテなどの貝・クラゲなどが同81.7%、タラなどの魚(生鮮、冷蔵)が同46.5%それぞれ減少している。欧米でも輸入制限は続いている。

 JETROによると(http://www.jetro.go.jp/world/shinsai/foods_inspection.html)、香港は福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県産の牛乳、野菜、果物、肉類、卵、水産品などを輸入制限の対象とし、韓国は対象地域に神奈川県を含み、中国は神奈川県を含まれないものの、宮城県、新潟県、長野県、埼玉県、東京都を対象地域に加えている。

 水産庁によると、12月26日現在、

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