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原発再稼働 「おおむね」安全で家族を理解させられるか?

小森敦司 朝日新聞経済部記者(エネルギー・環境担当)

 「のだ首相、げんぱつを『さいかどう』しようとしてるって、本当ですか? ぼくたちはまだ元の生活にもどれていません」

 福島県内の小学生が野田佳彦首相に訴えた。環境NGO「グリーンピース・ジャパン」が、原発の再稼働に「まった」をかけようと、朝日新聞に3月下旬に出した意見広告だ。

 東京電力福島第一原発事故の被害をいまも受けている小学生の声には、こうもあった。「きれいな空気がすいたい」「なんで、原発をこんなにたくさん作ったのですか」「友達とはなれるのがいやです」

 野田政権が原発の再稼働への動きを加速している。関西電力の大飯原発3、4号機(福井県おおい町)に絡んで、暫定的な安全基準に「おおむね適合している」と判断し、安全性を確認したというのだ。再稼働ありきで、コトが進んでいるとしか思えない。

 野田佳彦首相らは、福島の子供たちの声に耳を傾けただろうか。その声を無視しても、再稼働に走るのだろうか。福島県外に避難している人は6万人を超えている、という。とてつもない苦労を背負った被災者から、原発に対する思いを聞いたことがあるだろうか。

 再稼働を判断する野田首相や枝野幸男経済産業相、細野豪志原発相らにも大切な家族がいるはずだ。もし、家族が原発立地点の近くに住んでいたらどうだろう。福島第一原発の事故の原因も本当には分かっていないのに、「おおむね」安全だからと言って、家族に再稼働を理解してもらうことができるだろうか。

 焦点となっている関西電力の大飯原発の中長期の安全対策の「工程表」によると、

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