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政治の混迷とポピュリズムの台頭

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

 2009年の政権交代は大きな期待を持って迎えられた。1955年以来の本格的政権交代だったからだ。1993年には一時的に連立政権によって政権交代が行われたが1年足らずで崩壊、自民党と公明党の連携によって再び旧体制に戻ってしまった。

 筆者も多くの人々と同じように民主党政権に大いに期待したし、当初は子供手当の新設、高校授業料の無償化などヨーロッパ型福祉社会を目指しての歩みを始めるように思えた。しかし、2006年から党代表を務め、政権交代の基盤を作っていった小沢一郎は西松事件で党代表を辞任、鳩山由紀夫が代表に就任し、2009年8月31日の選挙で民主党は大勝し政権を握ったのだった。

 その後、3年間に鳩山由紀夫、管直人、野田佳彦と三度総理が交代、2012年には小沢グループ約50人が離党、新党を結成し民主党は分裂状況に入っていったのだ。

 政策面でも小沢・鳩山体制で確立した積極財政・福祉国家路線から、管・野田政権のもとで財政再建重視・市場原理主義への傾斜と大きく変わっていくことになる。また野田政権は自民党・公明と連携し、消費税増税法案を成立させ2014年4月に8%、2015年10月に10%への移行を決定した。

 野田政権は政権交代時のマニフェストなどを無視し、

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