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復興予算の流用問題、民主党は居直れば良い

原田泰 原田泰(早稲田大学教授)

 東日本大震災の復興予算が関係のないことに使われていることが問題になっている。民主党は、これを問題にされることを嫌がっているようだが、私は、民主党は居直れば良いと思う。

自民党には必死に考えて欲しかった

 別に民主党に義理はないのだが、期待していたことがある。民主党が権力の座に就くことで、自民党が必死に考えることだ。これまで自民党の目的は、権力の座にあることで、日本という国をどうするのか真剣に考えて来なかったと思う。もちろん、失敬な事を言うな、俺は考えてきたという方もおられるだろう。しかし、すべての議員が考えてきたとは思われない。

 野党というのは暇である。政府の仕事もないし、マスコミや役人や業界も寄ってこない。法案や政府の仕事にケチをつけるだけである。しかし、野党は少数なのだから、いずれ法案も予算も通ってしまう。しかし、時間はある。だから、その時間に必死に考えていただきたかった。

 ところが、まず鳩山由紀夫総理が普天間発言でミソをつけた。無駄をなくして16.9兆円の新たな施策を増税なしにするというマニフェストも実現できそうでないと分かった。菅直人総理の消費税増税発言で、2010年7月の参院選に敗北し、参議院での多数を失った。

 自民党は、何も変えなくても政権に戻れると思い始めた。民主党が参議院の多数を失ったことで、政府与党を妨害できるようになった。政局を動かせるようになったので、人が寄ってくるようになった。自民党は、元に戻れば政権に就けると考えるようになった。

自民党が戻っても日本は元には戻れない

 しかし、日本を取り巻く状況は元のままではない。国力は低下し、中国と韓国の力は高まっている。大震災で東日本は打撃を受け、復興は進んでいない。原子力発電所は爆発し、放射能被害は収束していない。日米同盟関係は揺らいでいる。人々は民主党政権に失望し、再び、自民党を政権に就けようとしている。

 だが、日米同盟の揺らぎ以外は、民主党のせいではない。国力の停滞も、中国と韓国の勃興も、原子力発電所の規制がいい加減だったのも自民党時代からのことだ。自民党は、

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