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退任が見えたバーナンキFRB議長の歴史的評価

小原篤次 大学教員(国際経済、経済政策、金融)

 米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長が、2期目(通算8年)の任期が切れる2014年1月31日で退任する見通しだ。オバマ大統領が17日、テレビのインタビューで、議長の交代を模索している可能性を示唆したという。

http://www.asahi.com/international/update/0619/TKY201306190016.html

 ロイター通信は手際よく、後任議長候補として、ジャネット・イエレン氏(現FRB副議長、66歳)、ローレンス・サマーズ氏(元財務長官、58歳)、ティモシー・ガイトナー氏(前財務長官、51歳)、ロジャー・ファーガソン氏(元FRB副議長、61歳)、ドナルド・コーン氏(元FRB副議長、70歳)の名前をあげている。イエレン氏なら初の女性議長、ファーガソン氏なら初のアフリカ系議長となる。強靭な個性を発揮するサマーズ氏は批判を呼ぶ可能性が高いだろう。少し早いが、バーナンキ時代がいかに評価されるのか考察する。
http://www.asahi.com/business/reuters/RTR201306190054.html

バーナンキ、歴史は知的レベルの高いゴシップ

 バーナンキ議長はプリンストン大学教授時代、『大恐慌を見た経済学者11人はどう生きたか』に寄せた序説がある。大恐慌研究は彼の代表的な研究実績のひとつだ。「後知恵ではだれもが正しい意見を述べることができる。難しいのは地獄の最中にあるときに何をすべきかを知ること」とコメントして、さらに歴史について「知的レベルの高いゴシップ」と表現している。歴史研究者には極めて失礼な言い回しではある。だが、マネタリスト、米国主流派の経済学者らしい自信がみなぎっている。

米国経済の主要指標米国経済の主要指標

 2006年2月からの8年間、バーナンキ議長の政策はいかに評価されるのだろうか。バーナンキ議長の在任期間のみを評価すれば、リーマン・ショックに端を発する世界金融危機の大きな責任を負い、厳しい評価とならざるを得ない。ポールソン財務長官、ガイトナー・ニューヨーク連銀総裁を含めた3人組はリーマンを救済することはできなかった。世界金融危機後の機動的な超金融緩和政策には一定の評価もあろうが、

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