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邦銀はミャンマーでの地位を生かせるか?

根本直子 早稲田大学 大学院経営管理研究科 教授/アジア開発銀行研究所、 エコノミスト

 「アジア最後の未開拓市場」とも言われるミャンマー。6千万人を越える人口、質の高い低コストの労働力、豊富な資源など経済成長のポテンシャルは高い。麻生副総理が就任直後に、また安倍総理は5月に訪問するなど日本政府も関係強化に注力している。

 2011年に発足したテイン・セイン政権が民主化、経済開放に取り組む中で、外資系企業や銀行が相次いで拠点を開設しているが、その中で日本の金融機関の相対的な地位は強い。

 第一に長期間拠点を置いていたことが評価されている。2013年6月時点でミャンマーに駐在員事務所を置いている外資系銀行、金融会社の数は34あるがその大半(21)は2011年以降である。米国の禁輸制裁(2003年)などから欧米金融機関の進出は大幅に遅れており、拠点を維持していたメガバンクへの信頼は厚い。また銀行以外でも、大和総研は1996年から合弁会社などを通じて関係を維持しており、同国の証券取引所の開設や運営のアドバイザーとなっている。

 第二に、有力な地元銀行と提携している。三井住友フィナンシャルグループは民間では最大手のKBZ銀行、三菱UFJフィナンシャル・グループは、支店網で第二位のCo-operative Bankと業務提携をしており、日本企業にビジネスの情報や顧客紹介などのサービスを提供できる。

 第三にミャンマー側でも、日本政府や企業への期待が高まっている。ミャンマーへの直接投資では中国の規模が圧倒的に大きいが、最近の水力発電のプロジェクト見直しなどにもみられるように、一国への集中を避けて選択肢を増やそうという動きがある。また日本政府の経済協力やJAICAなどの政府系機関が築いてきた関係は親日感情に結びついており、日本企業の進出にとってプラスの要因といえる。

 2013年は金融関係で大きな政策決定が予定されており、

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