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マスコミはIT企業に飲み込まれるのか

小原篤次 大学教員(国際経済、経済政策、金融)

インターネットが2020年には、広告費でテレビも超える

 メディアは情報を伝える媒体でもあり、それをビジネスとして成立させる共通の収益源が広告である。日本最大の広告代理店、電通の広告費推定によると、2009年、インターネットが新聞を超えている。新聞・雑誌を含めると、2012年は、わずかにインターネットを上回るが、早ければ来年発表される2013年広告費推定で逆転されるとみている(図1)。広告費をベンチマークにすれば、インターネットはすでにテレビに次ぐ強力メディアだ。

 広告なくしてメディアなしである。購読料がある新聞や雑誌の対極として、フリーペーパー、「R25」をはじめリクルート社などの様々な媒体を思い出してほしい。インターネットは、ニュースをものすごい勢いで「フリーペーパー」化している。テレビの広告費が緩やかに減少し、インターネットの成長が続けば、10年程度先に、インターネットがテレビを超える最大メディアになる可能性が見えてきた(放送が毎年、前年比1%減、インターネットが同9%増との前提で2020年には逆転する)。

学生がフォロワー数でベテラン記者に勝つ時代

 一方、書ける学生には良い時代が来たのかもしれない。例えば、30年間に所属したスポーツ新聞サークル「同志社スポーツアトム編集局」ツイッターのフォロワーは3500を超えている。朝日新聞社のソーシャルメディアアカウントで、記者名を公開している人は58名(2013年8月14日アクセス)いる。フォロワーが3500を超えているのは、丹治吉順記者、神田大介記者(以上1万以上)、藤えりか記者、吉岡桂子記者、沢村亙記者、関根和弘記者、石田博士記者の7名である。1000未満は19人。ちなみにWEBRONZAは神田記者に次ぐフォロワー数で、前編集長の一色清記者は1万を超えている。

 ネットベースで活動する人物と比較しなかったのは、やはりフォロワーが桁違いに多数だからだ。「ほぼ日刊イトイ新聞」(グッズ販売も)で糸井重里氏は60万、津田大介氏は25万、佐々木俊尚氏は18万、池田信夫氏は15万、堀潤氏は9万を、それぞれ超えている。糸井氏は、毎日新聞を超えて、朝日新聞や日本経済新聞の公式アカウントのフォロワーに肉薄している。

 学生、非正規労働者、ITライター、中小企業経営者など、組織の束縛されない多数の市民が、

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