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報道機関に新たな収入をもたらすニューズクレッド

茂木崇 ニューヨーク・メディア文化研究者

 ニューズクレッドという、報道機関にデジタル上で新たな収入をもたらす企業が注目を集めている。

 報道機関が世に送り出した記事を企業のサイトなどに配信し、配信料をニューズクレッドと報道機関とで分け合う――これがニューズクレッドの基本的なビジネスモデルである。

 ニューヨークの同社でディレクター・オブ・マーケティングを務めるアリシアン・ランドに話を聞いた。

 ニューズクレッドはシャフカット・イズラムが2人の友人と共に創設した。

 イズラムはバングラデシュの外交官の家庭に生まれた。新聞を読むのが大好きな子供だった。ペンシルベニア大学でコンピュータ・エンジニアリングと経済学を専攻し、メリルリンチの技術担当スタッフとして6年働いた。

 その後、ジャーナリズムを再生させることを目的として、2008年にこの会社を設立した。「クレッド」は「クレディビリティ(credibility)」の省略形である。

 これまでは、企業は広告を出して顧客の注目を集めようとしてきた。これがデジタルの時代になり、企業は広告だけでなく、ソーシャルメディアを通じて顧客とエンゲージ(関係を築く)することができるようになった。

 ランドは、ブランド構築を目指す企業は、thought leader、すなわちアイデアやビジョンを率先して提示する存在になろうとしていると語る。このため、企業はウェブサイトやソーシャルメディアで自社の製品やサービスについての記事を共有するだけではなく、より大きなブランドについての記事も共有するようになってきているという。

 例えば、ペプシは、同社のウェブサイトに、エンタテインメントやポップカルチャーについて報道機関が執筆した記事をキュレートして掲載し、自ら執筆した記事も加えている。

 ライフスタイルや文化の中に自社の製品やサービスを位置づけるようにしていかないと、

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