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経常収支の赤字は公共投資の拡大が要因だ

原田泰 原田泰(早稲田大学教授)

 輸出が伸びず、輸入が伸びて、昨年9月以来、3カ月連続しての経常収支の赤字が続いている。アベノミクスで円安にしても日本経済は復活しない、経常収支の赤字が続くのは日本経済がダメになる兆しであるなどという議論がある。

 は、国際収支ベースの輸出、輸入、サービス収支、所得収支を示したものである。図に見るように、円安にもかかわらず、輸出の伸びはゆっくりとしたもので、直近は、経常収支が赤字となっている。

 ただし、輸出が伸びないというより、輸入が伸びているのかもしれない。円高修正以来、まず、輸入額が円建てで増加する。これは当たりである。輸入の価格はドル建てで決まっているものが多く、円安になれば、円建てでの価格が上がる。価格が上がっても、原燃料の輸入を減らすことは難しい。しかし、継続的に輸入が増える訳ではないから、水準が上がってそのままになる。2013年の初期から8月までは理屈通りの動きをしていた。ところが、9月以降、輸入が急増して、赤字が膨らんでいる。

 一方、輸出の方は、円高が修正されるとともに、競争力が回復して、徐々にだが増加する。8月までは、こちらも理屈通りの動きだったが、9月に輸出の伸びが減少し、その後の回復も遅い。その結果、

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