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アメリカの金融緩和縮小で不安定化する新興国経済

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

 2014年は世界経済の景気回復期になると予測されている。IMFが去る1月21日に発表した世界経済見通しでは2014年の世界全体の成長率は3.7%。2013年の3.0%から0.7%高くなっている。

 この景気回復を主導するのは先進国だ。先進地域の成長率は2013年の1.3%から、2.2%まで0.9%上昇するとされている。中でも好調なのがアメリカ。2014年の成長率は前年の1.9%から2.8%まで増加するとの予測だ。

 事実、2013年の第4四半期の成長率の速報値は年率換算で3.2%と、2014年も3%を超す勢いだ。いわゆるシェールガス革命でエネルギーコストが下がり、製造業もアメリカに回帰してきているという。

 こうした状況を受けて、アメリカの金融当局は金融緩和の縮小(いわゆるテーパリング)を発表。2009年以来の金融政策の大転換に踏み切ったのだ。2009年の第1次量的緩和(QE1)、2010年の第2次緩和(QE2)、そして2012年の第3次緩和(QE3)と金融緩和政策を5年ほど続けてきたのだが、好調な経済動向を受けて政策転換を決定したのだった。

 確かにアメリカ経済、日本経済はともに順調で、ヨーロッパ経済も2013年のマイナス成長(ユーロ圏で-0.4%)から14年はプラスに転じるとされている。しかし新興市場国経済は必ずしも思わしくなく、

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