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[17]賃上げに本気なら、安倍政権は最低賃金の大幅引き上げ法案を国会に提出せよ

齋藤進 三極経済研究所代表取締役

 安倍晋三首相は、2014年度早々の賃上げを唱道しているという。しかし、いくら熱心に賃上げを唱えても、それだけで賃上げが実現する訳ではない。

 安倍首相・連立与党が、賃上げに本気なら、最低賃金を大幅に引き上げる法案を国会に提出し、成立させることができる。自由民主党・公明党は、衆議院・参議院の両院で過半数を握っているのだから、何時でもできることである。

 日本政府総務省統計局が実施している労働力調査では、30年前の1984年2月には、役員を除く3936万人の雇用者のうち、正規の職員・従業員は3333万人(84・7%)、非正規は604万人(15・3%)だった。

 それが30年近く経った2013年7月~9月(平均)では、正規の職員・従業員は3295万人(63・3%)、非正規は1903万人(36・7%)となった。

 最近の30年間近くで、正規の労働者数の水準は若干の低下したが、あまり変わらなかった。しかし、非正規の労働者が大きく増加し、全労働者の3分の1以上にもなった。男女別では、2882万人の男の労働者の611万人(21・2%)、2322万人の女の労働者の実に1297万人(55・9%)もが非正規である。

 この非正規の男611万人、女1297万人という人数は、国税庁が毎年公表している民間給与所得者数で、年収が200万円未満の男579万人、女1252万人という所得階層の数字にほぼ対応する。

 年収100万円以上・200万円未満の労働者の平均年収は、150万円未満である。年収100万円未満の996万人と合わせ、1831万人が最低賃金労働者と推計しても、実態と大きく変わらないであろう。

 昨年10月に改定された日本の最低賃金は、全国・全職種の加重平均で1時間当たり764円である。 

 この水準が、経済先進国として胸を張れる水準なのかどうかを概観するために、今月時点の世界の各国の自国通貨建ての最低賃金を、先週金曜日・2月14日時点の当該各国の通貨の対日本円為替レートで日本円に換算したのが、上掲グラフである。

 米国の(連邦)最低賃金は、2009年7月以降は7・25ドルである。

 アベノミクス開始前の2012年秋には、1ドルが約80円であった。この為替レートで換算すると、当時の米国の最低賃金は約580円に過ぎなかった。しかし、

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