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金融界の「レジェンド」ポール・ボルカー

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

 FRB議長がベン・バーナンキからジャネット・イエレンに変わり、アメリカの金融政策、その緩和縮少政策が世界の注目を集めています。FRB議長は常にスポットライトを浴びますが、その中でも1979年からいてその9年間議長を務めたポール・ボルカーは「レジェンド(伝説)」になった議長でした。

 近著、「伝説のFRB議長・ボルカー」(ダイヤモンド社、2014年2月、訳者倉田幸信)で著書のウィリアム・L・シルバーはボルカーが最も偉大なFRB議長だったとして次のように述べています。

 「ボルカーは自己の職業人生を通じて、ほかに例がないほど厚い信頼を獲得した。公職に就くことを国民からの神聖なる委託であると考えて仕事をしたからだ」

 「前回の巨大な経済危機、1970年代のグレート・インフレーションと勇敢に戦った際、ポール・ボルカーはまさに英雄でした。アラスカ州アンカレジの住人ジャック・キムは、1987年にボルカーがFRB議長を辞める時に次のような手紙を送りました。『連邦準備制度からあなたが去るということは、戦争中にジョージ・バットン将軍がいなくなるのと同じことであり、そのように心細く感じます」(前述書、7~8項)

 そしてシルバーは(ⅰ)原理原則、(ⅱ)断固たる信念、そして(ⅲ)実用主義の三つが混ざりあって

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