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官製・ジャパンディスプレイもいいけれど…、細る産業の新陳代謝

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

 中小型液晶の世界大手であるジャパンディスプレイが3月19日、東証1部に上場した。官製ファンドの産業革新機構が2000億円を出資し、日立、東芝、ソニー3社の「ノンコア事業」を統合した。バラバラのままでいれば、いずれ母体企業によって見捨てられる可能性があった。

 それが関係者の懸命な努力の末に復活した。いい話なのだが、資本市場が正常に機能しているこの国で、リスクを取る投資マネーの出し手が、官製ファンド以外に存在しなかったというお寒い事情も、併せて明らかになった。

 民間ファンドもがんばっているが、まだまだ力不足である。下のグラフ1は日米のベンチャー投融資額を年別に比較したもので、日米は20~30倍の実力差がある。例えば2012年は、米国の2兆6700億円に対し、日本は1026億円(26分の1)にとどまる。

 米国が世界のIT産業を牛耳り、先進医療や創薬でリードしているのも、民間ファンドの豊富な資金が長年ベンチャーを支えてきたからだ。

 一方の日本は投融資額が少ないだけでなく、投融資先の企業数も年々減るという困ったことになっている。2007年の企業数は2579社あったが、2012年は3分の1の824社に減っている。

 民間ファンドはベンチャーに投資し、(確率は低いが)新規株式公開(IPO)に成功すれば巨額の利益を得る。その投資する母数が細っている。それがもたらす結果は、

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