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就業率が高まらないことの意味をどう考えるか

原田泰 原田泰(早稲田大学教授)

 失業率が低下している。失業率とは、言うまでもなく、失業者数÷(失業者+就業者)のことであるが、通常、失業率が低下しているときには、就業者も伸びている。なぜなら、失業率が高いと、どうせ就職できないと就職活動をあきらめてしまう人が増え、失業率が低くなると、就職できるだろうと就職活動を行い、実際に就業者が増えるからだ。失業率の定義から言って、就職活動をあきらめた人は失業者ではないので、そういう人が増えても失業率が下がる。

 経済の観点から言えば、就業者が増えることが肝心だから、就職活動をあきらめて失業率が下がるのは良くない。今回の失業率低下では、失業率がかなり順調に低下しているが、就業率(就業者÷15歳以上人口)の上がり方は遅い。特に、男性の就業率の上昇はわずかで、全体の就業率が上昇したのは女性の就業率が上がっているからである。特にトレンドで見ると、就業率は92年以降、低下している。だから、就業率を上げるべきだ、多くの人がもっと働く気になる必要があると通常は思う。

就業率を15~64歳人口で見ると

 就業率は、世界的に15歳以上人口に対する比率で見ることになっているが、これを15~64歳人口で見ると、違う世界が見えてくる。図2は、就業率を就業者÷(15~64歳以上人口)とした場合である。図に見るように、

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