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原発事故時の経産事務次官、ソニー社外取締役に――いったい責任を感じているのか?

小森敦司 朝日新聞経済部記者(エネルギー・環境担当)

 2011年3月の東京電力福島第一原発事故の事故当時の経済産業事務次官だった松永和夫氏がソニーの社外取締役に6月19日付で就く。松永氏は、かつて原発の安全規制組織のトップだった。そのときに地震・津波対策を電力会社に徹底させていれば、あの事故は防げたかもしれない。この「天下り」を許していいのか。

 松永氏は資源エネルギー庁の石油部長などを経て、02年7月に原発の安全規制を担った原子力安全・保安院の次長に、そして04年6月に院長になった。その後、大臣官房長、経済産業政策局長など出世の階段をのぼって、10年7月に事務次官になった。

 原発事故のあとの11年8月、氏は通常の退職金をもらって退職。13年6月に住友商事と高砂熱学工業の社外取締役に就いた。今回、社外取締役の肩書がまた増える。いくつもの再就職は、氏が原発事故の責任を感じていないことの証しと言えないだろうか。

 事故被災者が国や東電を相手に慰謝料などを求めて13年3月に福島地裁に提訴した「『生業を返せ、地域を返せ!』福島原発訴訟」の訴状は、過去の国の地震・津波予知に関する調査を根拠にこう指摘した。

 「国は02年、または遅くとも06年までには、地震に伴う津波による浸水から全電源喪失、ひいては炉心溶融という重大事故が発生し得ることは、予見することが可能だった」。氏の保安院次長、院長時代とかなり重なる。

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