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真の大学改革で、日本のエリート教育の強化を

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

 安倍政権の重要な政策の柱の一つが教育改革だという。道徳教育や小学校で英語を教科化すること等が検討され、又、大学入試改革等も論議されることになっている。一般論としての教育改革は結構だが、筆者には道徳教育の強化や小学校での英語教育はそれ程重要な課題には思えない。

ミシガン大学のホームページよりミシガン大学のホームページより

 欧米先進国等と比較してみても、日本の初等・中等教育のレベルは高いし、大学進学率も世界のトップクラスだ。日本で問題なのはむしろ大学・大学院等の高等教育ではないだろうか。

 筆者は1999年に旧大蔵省を退官したあと、大学教授を務めているが、日本の大学教育は欧米先進国に比べて劣っていると思わざるをえない。

 大教室で講義をすることが多く、その講議のフォローアップはほとんどない。筆者は米国ミシガン大学の大学院に留学し、そこで二年程ティーチング・アシスタントを務めたが、大教室の講義を小クラスに分け、それをフォローするのがティーチング・アシスタントの仕事だった。

 筆者の担当したグループは20人程度。大教室で聴講した160人前後の学生を8グループに分け、質問を受け、さらに議論をして理解を深める仕組みだ。

 さらに、ほとんどの授業ではリーディング・リストが配られ、図書館にはその資料が多くコピーしてあり、学生が事前に閲覧することが可能だった。授業は学生が授業前にこれらを読んでいることを前提に、

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