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(波聞風問)地方創生 国の支援、待つのではなく

人口1500人余、岡山県西粟倉村「西粟倉・森の学校」が黒字化を果たすまで

多賀谷克彦 朝日新聞東京本社経済部長

 その村に関心をもったのは、岡山市に新しくできたショッピングセンターにある「無印良品」の売り場を見たときだった。

 「ひのきの間伐材でつくりました」と表示され、小刀を使ってスプーンなどの食器に仕上げるキットが並んでいた。見上げると「想(おも)いを紡ぐ百年の森づくり」というポスターがあった。

「ユカハリ・タイル ワリバシ」を手にする牧大介社長=岡山県西粟倉村

 岡山県西粟倉(にしあわくら)村。兵庫県と鳥取県に接する県境の村である。人口1500人余り、面積の95%が森林。多くが戦後に植えられた人工林という。将来の糧に、と植えられたが、市況の低迷などから糧にはならなかった。

 その村が7年前、もう一度、林業に挑戦しようと決意した。きっかけは平成の市町村合併に加わらず、退路を断ち、自立の道を選んだことだった。掲げたのが「百年の森林構想」。「森林の管理をここで諦めず、あと50年がんばろう」と腹をくくった。

 村は、自ら管理できない所有者から山林を預かり、森林組合が、間伐など山林を管理する仕組みをつくった。

 ただ、原木のまま市場に出したのでは昔と変わらない。そこで第三セクターの「西粟倉・森の学校」を設立。木材を、自前の工場で柱や床材に加工して付加価値を高め、

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