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コメの内外価格差が消えた

減反を廃止する環境がととのってきた

山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

 コメの輸入に異変が起きている。2014年度、日本がアメリカ等に開いている主食用の輸入枠10万トンがほとんど消化されなかったのである。

 ガット・ウルグァイ・ラウンド交渉で、輸入数量制限など関税以外の措置は廃止し、当時の内外価格差を関税に置き換えて設定することが要求された。しかし、その内外価格差は大きかった(現在1キログラム当たり国内米価200円に対し関税はこれを大きく上回る341円)ので、一定の輸入を行わせるために、ミニマム・アクセスという輸入枠が設定された。

 日本のコメの場合、ミニマム・アクセスは77万トンであるが、アメリカの要求を入れて、そのうち一定量は主食用として日本の市場に入れることとした。その入札方法は同時売買(SBS)方式といい、海外の売り手と日本の買い手がセットで入札し、買い手の価格(日本での卸売価格に相当)と売り手の価格(日本への外米輸入価格)の差が大きいものから落札するというものである。

 この差は内外価格差に他ならない。内外価格差があれば、必ず入札に応じる業者が出てくる。これまで例外的な年を除いて、この輸入枠の消化率は100%だった。

 例外的な年としては、国産米価が12%低下した2010年度に消化率は31%、13%低下した2013年度の消化率は61%だった。しかし、

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