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日本は堂々と「TPP11」を進めよう

日本政府の中の、アメリカの機嫌を損なうことを何よりも恐れる人たちへ

山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

残念な日本政府の行動

米ホワイトハウスで1月23日、署名した環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱するための大統領令を見せるトランプ大統領=ロイター 米ホワイトハウスで1月23日、署名した環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱するための大統領令を見せるトランプ大統領=ロイター

 日本政府はアメリカ抜きの環太平洋経済連携協定(TPP、11カ国が参加するので〝TPP11〟と称している)を推進することを決断したと報道されている。このWEBRONZAで昨年夏以降、私がたびたび主張したことが、ようやく政府部内でもコンセンサスになったようだ。

  しかし、これに至るまでの政府の行動には残念なことがある。

 まず、アメリカ抜きのTPPという私の提案に対して、アメリカが参加しないTPPは意味がないとか、アメリカ市場へのアクセスを条件に他の分野での譲歩に応じた国は再交渉を求めることとなるとか、やりたくないための理由を並べ立てたことである。

 最初のうちは、真剣に検討しようという態度は見られなかった。また、このような政府の対応におうむ返しのように同調する学者や研究者がいた(これについては過去に反論しているので、ここでは繰り返さない)。

なぜ態度を変更したのか?

 おそらく潮目が変わったのは、トランプ政権になって、TPPからアメリカは脱退し、日本に二国間の自由貿易協定(日米FTA)締結の交渉を求めるというスタンスが明らかになったときからだろう。

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