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藤本美貴ライブで見たオタクの「成熟」――恋愛が発覚したアイドルは「総選挙」で審判を仰げ

鈴木京一 朝日新聞文化くらし編集部ラジオ・テレビ担当部長

 一児の母となったアイドルのライブを夫が鑑賞、その夫の名を客席のオタクが叫び、夫は妻の名を叫ぶ。先日、Zepp Tokyoで開かれた藤本美貴(28)のコンサートを見て、時の流れは全てを解決するのかと思った。

 藤本は2002年にソロのアイドルとしてCDデビュー、松浦亜弥とともにチャートを賑わせ、紅白歌合戦にも出場した。翌年モーニング娘。に加入、2007年にはリーダーになるが、お笑い芸人の庄司智春とのデートを写真週刊誌に撮られ、リーダー就任1カ月足らずで脱退する。脱退後は演歌を歌い、地方回りをしたこともあった。

 一方、ソロアイドル時代の持ち歌はつんく全盛期の名曲ぞろい。中でもサードシングルの「ロマンティック浮かれモード」は、「ミキ様ミキ様オシオキキボンヌ」というコールなど、いわゆるオタ芸のフルコースが楽しめる曲として伝説化、これまでもたまに歌われると、イントロが流れるだけで客席からどよめきが起きた。ほかのアイドルもイベントなどでカバーし、ハロー!プロジェクトの枠を超えたアイドル歌謡の財産となっている。

 この日の公演で公式グッズとして売られた生写真は、本人の「オシオキキボンヌ」のサイン入り。オタクたちの遊びが10年越しで本人に公認された。

 Zepp Tokyoでのライブは10年ぶり。1曲目は10年前と同じ「ブギートレイン’03」。ハロプロ研修生の小中学生4人がバックダンサーとしてついた。10年前のPVでは、現在Berryz工房で活躍している、小学生時代の「ももち」嗣永桃子らが踊っていた。

 昼公演にはモー娘時代の同僚の中澤裕子や新垣里沙が登場、「迷惑をかけた」と謝る場面もあった。夜公演は2階客席の最前列に夫の庄司が姿を見せた。その夜のブログで本人が書いているが、複雑な心境だったようだ。

 「皆さんが好きだったミキティを見れなくしたのは僕の責任でした」

 「僕が会場にいたりなんかしたらせっかくの復活祭が台無しになってしまうんじゃないか?と思っていました」

 しかしオタクたちは

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