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「男の性欲はコントロール&ケアされるべき」という男の感覚が不思議だ

北原みのり(文筆家、「ラブピースクラブ」代表)

 一連の橋下発言は激しく批判されている。批判はされているが、女としては「謝られていない」感が残る。“国際社会”に謝った、石原慎太郎氏に謝った、だけど私は謝られていない。そんな気分。

 なぜ橋下氏は、「女性蔑視だ」という声に全く応えようとしないのだろう。不思議に思っていたところ、「男性はそういう生物である」等、橋下氏の発言の一部を擁護する東浩紀氏のツイッターを読んだ。ああなるほどね、と膝を打つ思いだ。どうやらこの件、“彼ら”にとっては「歴史認識問題」ではなく「日本男児の性欲認識問題」なのかもしれない。

「橋下発言に抗議する緊急院内集会」=2013年5月22日、東京・永田町の参院議員会館

 東氏は橋下氏発言以降、「男性はセクハラとかしちゃう生物なんだ、というのは集団の分析としてはどうしようもなく真実」「『男性は痴漢とか強姦とかしがちなので気をつけましょう』というきわめて単純な事実」など、男性の性欲についてツイッターでつぶやいてきた。

 その通りだと思う。セクハラも痴漢も強姦も、男性から女性に向けられるのが圧倒的に多い。それは「事実」だ。が、それを「男性はそういう生物」と語るのか、「男性優位社会ではそうなりがち」と語るのでは、見えてくる「現実」がまるで違ってくるだろう。

 性欲は本能だ。そんなこと誰も否定しやしない。だけれど、その発露の方法は文化ではなかったのだろうか。 

 多くの男性が無邪気に信じていることに、男の性欲は抑えがたい、というのがある。いわゆるレイプ神話だ。性欲が抑えられないからレイプする、女が挑発したからレイプされた……など。しかし実際の性犯罪は、一部の異常性欲の持ち主が犯す抑制の効かない犯罪でもなく、女性の服装や態度などに全く因果関係がないことは、よく知られている事実である。

 例えば東氏は「通勤電車があると一定確率で痴漢がでる」と言い切っていたが、

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