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[5]巻き起こる「アトピービジネス」批判

牛山美穂 大妻女子大学准教授(文化人類学、医療人類学)

 こうして出現した「アトピービジネス」は、1990年代、ステロイド外用薬を使いたくないと考え始めたたくさんのアトピー性皮膚炎患者にとっては救世主のように映ったに違いない。

 ステロイド外用薬を処方する病院はもう信用できず、ステロイド外用薬を止めたために症状が酷く悪化しているところへ、「これをすればアトピー性皮膚炎は治る」と言ってくれる商品や治療が存在することは、患者にとっては大きな心の拠り所となったはずである。

 そして、だからこそ問題になったのが、こうしたビジネスの一部にとても高額な商品や治療を悪質な手口で販売するものがあったことである。当時の雑誌記事には、そうしたアトピービジネスを批判的に糾弾するタイプのものが数多くみられる。

 「NEWSクッキング イラストニュース解説 アトピー患者の弱みにつけこむ悪質商法にご用心 水道局員に見せかける、布団クリーニングを装った訪問販売などの手口」(週刊女性 1997.11.11)
 「アトピー性皮膚炎 ステロイド外用への誤解を背景に、氾濫する民間療法で被害が続出 他、巧妙化するアトピービジネス」(サイアス 1998.10.2)
 「専門医が警告! 『ステロイドの恐怖』で儲けるアトピー商法 アトピー治療薬・ステロイドの副作用や恐怖を植え付けさせ、カネ儲けをする悪徳商法の被害増大」(サンデー毎日 1999.3.21)

 さらに問題なのは、そうした高額商品を購入し

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