2015年06月30日
ジャコブは映画祭の経営手腕も一流であった。カンヌが世界一の映画祭へと歩むきっかけとなったのは、1983年のメイン会場「パレ・デ・フェスティバル」のオープンだろう。
だが、「栄光の24段」と呼ばれる階段付きの新会場ができ、さらに1987年からはその上に深紅の「レッドカーペット」が敷かれると、ドレスアップしたスターや監督が、周囲を意識して手をふったり、カメラに向かってしっかりポーズをするようになったのだ。
ジャコブはこのカンヌの風物詩となる光景を、印象的に紹介できるテレビや雑誌といったメディアの力を最大限に利用した。これが映画祭が発展する大きなステップになったことは疑いないだろう。
カナル・プリュスはカンヌ映画祭の開会式や授賞式などを独占放送できるなど、現在もカンヌと蜜月関係を築いている。この独占放映権は高額で、カンヌ映画祭の予算を潤すのに十分だと囁かれている。
メディア以外のオフィシャルパートナーとしては、パートナー歴35年のエールフランス、32年のルノー、30年以上のジャック・デッサンジュ(ヘアメイク)、25年のネスレ、18年のショパール社(宝飾)、17年のロレアル社、10年のオランジュ(電気通信事業)などがある。
これらの一流企業が、巨大化を続けるカンヌ映画祭を、物資や資金面でしっかりサポートしている。とりわけジャコブがプレジデントに就任した2000年以降、「カンヌはスポンサーとの関係が強すぎる」と揶揄されることも多くなった
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